恵比寿で立ち食いそば

昔東京で一人暮らしをしていたときに,頻繁に立ち食いそばを食べていた.

安いこと,そして一人でも気兼ねなく入れることが僕を惹きつけていた.

入社したてのころは,とにかく生活を成り立てないといけない.だから,味とか,サービスとか,そんなことよりも,まず腹がふくれることを考えていた.けっこうカツカツの生活をしていたので,いつもテンパっていたのを覚えている.

日吉駅前の立ち食いそばとか,五反田の道中そば等のお店に通い,おなかを満たしていた日々だった.

会社を退職し,大学に職を得て7年近くが経とうとしている.

今では「腹がふくれる」ことは,むしろ控えるべき状態になっているが,それでも東京出張のたびに,いろいろな立ち食いそばを食べ歩いている.

先日は品川駅に行き,立ち食いそばを食べた.この駅はホーム階や改札階等にいくつものお店がある.

「品川丼」を出す店があり,よく利用していたので久しぶりに立ち寄ってみた.「店内での写真撮影はお断り」という張り紙があった.昔はこんなのなかったのに……と思いながら,品川丼を注文.揚げたてではないフニャフニャの天ぷらに出汁がかかっている.突き出しのような,お吸い物のようなものはそばの出汁.懐かしいような,ちょっともの悲しいような,そんな気分で品川丼を食した.

次の日に,改札階の某そば屋を訪問.ここは「残念さ」しか残らなかった.40万3453歩譲っても,「そば」の「そ」も感じられない麺に絶望してしまった.こんな残念な麺なのに,大勢のお客さんがひっきりなしに入ってくるということは……たぶん僕の舌がおかしくなってしまったのだろう.さらに残念さに拍車をかけるように,店内のテーブルの舌には「○○の○○つゆ」とか「山菜のもと」とかの段ボールがそのまま積まれているありさま.これでいいのか?

そういえば,大阪の阪急三番街に,大阪を代表するとある料理を出すお店があるが,そこもこんな感じだった.お客さんが食べているテーブルの下に,平気で「業務用○○の素」とかの段ボールがあったのは驚いた.これでいいのか?

この前は大崎駅構内の「あずみ」という店に入った.「店内で天ぷらを揚げております」ということで期待していったが,確かに店内で揚げているのだろうけど,揚げ置きの状態.ただ,麺は一番おいしかった.やや値段が高いと思ったが,この麺なら文句も出まい.

ということで,今朝は雨の降る中「富士そば」まで行ってきた.雨よけの新聞片手に,ほぼ手ぶら,サンダル履きにTシャツという,およそ「月曜日の朝の首都圏の通勤電車では見かけないようなラフな格好」で恵比寿まで向かった.周りはスーツ姿でビシッときめているビジネスパーソンばかりで,なんだか自分がとってもダメ人間に思えてきた.

恵比寿駅に着き,新聞紙で雨を避けながら富士そばに向かい,モーニングそば(?)を注文.このお店は価格の割に,麺や出汁もちゃんとしていて,わざわざ電車で遠出した甲斐があったと思った.

おいしく食べた後,ラッシュの時間でさらに混雑した「首都圏の通勤電車」に乗って戻った.

何かを得たのか,何かを失ったのか,よくわからないが…….

追伸:で,結局どのお店で食べても,舌がピリピリするのは,やはり化学調味料のせいなのだろうか.

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