U-ナット談義

今日から夏休みモード。のつもりだったが,大学にはきちんと出勤。
朝は時間の余裕があったので、この前壊れてしまった自転車を修理に出してから大学に行く事にした。
右のブレーキワイヤーが劣化して切れてしまったので、それを交換することにした。
自転車を持っていったのは福間駅前にある「グリーンサイクル」。店構えはお世辞にもきれいとは言えないお店だったのだが、今日開いている自転車屋さんはそこしかなかったので持っていった。
店主のオヤジさんが僕の自転車を見るなり「これは何年乗ってる?」と質問してきた。何だろう?と思ったが、いろいろと話していくうちに、自転車の特許の話へと広がっていった。
僕の自転車は丸石自転車のシャフトドライブを使った珍しい自転車だが、シャフトドライブの特許について色々と面白い話が聞けた。
(後で色々と調べてみると、こんな面白い世界だったのかと改めて関心した。http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/kikai09/2/2-1-4-1.htm )
しかし今は安い中国製の自転車に押されてしまい、丸石自転車も九州からは撤退してしまったらしい。
中国製の自転車と日本の自転車の違いはどこにあるのか?それはズバリ「精度」と「材質」にあるらしい。一言で「鉄」「アルミ」といっても、ピンからキリまであるのだそうだ。一番わかりやすい例は「ステンレス」だそうで、品質の悪いステンレスは磁石がくっつくのだが、品質の良いステンレスは磁石がつかない。自転車の後ろの泥よけの部分は、今は大半がこの安いステンレスになっているらしく、プロは見ただけでそれがわかるそうだ。
鉄についても、製造の段階での温度管理にムラがあると、強度が均一でない「使い物にならない鉄」になってしまうらしい。そのような鉄を使ってネジを作っても、精度が低くて使い物にならないネジになってしまうそうだ。そんなネジはドライバーで締めるとネジ山がつぶれてしまったり、ネジ自体が切れてしまったりするそうだ。激安自転車はそのようなネジを使っているので、全体の精度がきわめて低くなっているとのこと。
一番わかりやすい例として「U-ナット」という部品を見せてもらった。U-ナットについて知らない人も多いが、ある程度まで締めると指では締めることができなくなる。しかしその後レンチなどを使うと締める事ができる。つまり、ナットなんだけど2段階の締め具合が内蔵されており、ゆるみを防止することができる部品だ。これは超精密部品ではないか!!と僕は感動した(詳しくは「U-ナット」を見てください)。
このU-ナットも、中国製だと形は似ているけれども、全く使い物にならないらしい。すぐにだめになってしまう。見た目は似ているので、店頭においてあっても素人だと全く見分けがつかないけれど、一度締めるとすぐにわかるそうだ。
ネジやナットは機械を作る上での基本部品だ。この部品の大切さを知らない人が多すぎると店主は嘆いていた。恥ずかしながら僕も今までU-ナットについては全く知らなかった。
話はさらに広がり、教育問題にまで及んだ。店主のおやじさんは「何かがおかしくなっている」としきりに嘆いておられた。
僕はふと思った。自転車にとってのネジやナットは、人間社会においては何に相当するのだろうかと。果たして僕らは「それ」の重要性を本当に実感しているのだろうか?単に知識として持っているのではなく「実感」しているのかどうか。そこが大切なポイントだと思った。
店主のおやじさんと波長が合ったらしく、夢中で話を聞いたりしたりしていた。気がついたら3時間が経過していた(笑)。
福間駅前のグリーンサイクル、ここのお店は本当の自転車屋さんです。見かけは雑然としているけど(失礼!)このお店なら信用できます!

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